ジャパニーズ・メタルおすすめバンド&名盤紹介(前編:まずコレを聴け!入門編10選)
私は日本のヘヴィメタルが大好きで、その魅力を多くの人に伝えたいとずっと思っていた。
そこで今回は、独断と偏見で選んだおすすめの10バンドと各バンドのおすすめアルバムを紹介してみようと思う。
中編、後編も書く予定です。乞うご期待!
なお、基本的に後追い世代の個人的なおすすめなので、リアルタイム世代や大手メディアとの評価のズレはご了承ください……。
こんな人にオススメ!
・日本のメタルが気になる人
・洋楽メタルを聴いているけど、日本のメタルはあまり知らない人
・いろいろなメタルを聴きたい人
はじめに:ジャパニーズ・メタルとは?
日本のヘヴィメタル。略して「ジャパメタ」。
……で終わったらあまりにも雑なので、もうちょい解説。
80年代は世界中でメタルが流行って、日本でも数多くのハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)バンドがデビュー。この時代のバンドが特に「ジャパメタ」と呼ばれることが多い(中編ではここを掘り下げます)。
90年代にブームが去ってメタルシーンは死にかけたものの、それ以降も多種多様なバンドが登場(後編のネタは主にここから)。メタルは今も生き続けているのだ!
まずはここから聴いてみよう!基本のおすすめアーティスト10選
LOUDNESS(ラウドネス)
メタルの日本代表。
天才・高崎晃の超絶的なギター、時代と編成で変わる音楽性が特徴。今の編成は第六期だけど、多くのメタラーがイメージするのは第一期(1981〜1988年)だと思うので、ここでは主に第一期の話をします。第二期以降も名曲は多いんだけどね……。
第一期はテクニカルなギターと鋭い高音ボーカル、樋口宗孝の力強いドラムが特徴で、80年代の王道的なメタル。特に1st~4thアルバムは正統派。5th~7th(第一期の最終作)では米国ハードロック寄りになった。
名盤「DISILLUSION 〜撃剣霊化〜」(1984年)
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4thアルバム。
キレのあるギターリフ、技巧とドラマ性を併せ持ったソロ、憂いを帯びたメロディなど、どれを取っても伝説級。
代表曲「CRAZY DOCTOR」「DREAM FANTASY(夢・FANTASY)」、驚異の疾走曲「ESPER」などを収録。
英語版もあるので、日本語歌詞が苦手な人はそちらをどうぞ。
BOW WOW〜VOW WOW(バウワウ)
70年代後半にデビューした、国産HR/HMの先駆者。
当初は「BOW WOW」名義で、その後メンバーチェンジで「VOW WOW」に。それぞれ「『B』時代」「『V』時代」とも。
「B」時代は主にハード・ロックンロール、「V」時代は壮大なキーボードと人見元基のすごく上手い歌がギターと互角に渡り合う英国風の正統派ハードロック。山本恭司(リーダー)のメロディアスなギターは共通している。
名盤(B時代)「SIGNAL FIRE」(1977年)
「B」時代の2ndアルバム。
表題曲や「天国行超特急」などアップテンポの爽快なハードロック、ジミヘン風のヘヴィな「シルバー・ライトニング」などの多彩な曲とギターが楽しめる。
名盤(V時代)「Ⅲ」(1986年)
「V」時代の3rdアルバム。
メタルに疾走する代表曲「SHOT IN THE DARK」から熱いピアノバラード「SHOCK WAVES」まで名曲揃い。
ANTHEM(アンセム)
ジャパメタ屈指の硬派。
音楽性はデビュー以来一貫している。NWOBHM*1を基調とした、熱いメロディのストレートな正統派メタルだ。
名盤「Gypsy Ways」(1988年)
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4thアルバム。
硬派で熱いメタルが満載、まさにメタルの王道。
実は3rdアルバム「BOUND TO BREAK」(1987年)と迷ったんだけど、当時のボーカル坂本英三の声は賛否両論あるから、(比較的)聴きやすい森川之雄の方にした。気になったらぜひ3rdもどうぞ。
FLATBACKER(フラットバッカー)〜EZO(イー・ズィー・オー)
北海道が生んだ突然変異(と、私が勝手に言ってます)。
FLATBACKERが渡米・改名したのがEZO*2だけど音楽性は別物。どちらも山田雅樹の超絶ボーカルが鮮烈で曲も演奏もハイレベルだ。
FLATBACKERはメタルもパンクも飲み込んだ曲調が(今の基準でも)斬新で激しさがある。キテレツでパンクな歌詞も相まって、衝撃度がかなりデカイ。
EZOは英詞の米国風ハードロック。ポップになってもボーカルはやっぱり上手いし、ギターもひねりが効いてて面白い。ちなみに1stのプロデュースはKISSのジーン・シモンズ。
アルバムは2枚ずつしかないしサブスクにあるから、全部気軽に聴けるよ!(でもCD廃盤)
名盤(FLATBACKER)「戦争(アクシデント)」(1985年)
1stアルバム。
ハードコアな疾走曲から無国籍風ヘヴィ・チューンまで幅広い曲が揃う。クセの強いメロディや歌詞も強烈。
名盤(EZO)「FIRE FIRE」(1989年)
2ndにしてラストアルバム。
表題曲での独特なヘヴィリフと泣きのソロなど、ポップな中にも独自性が光る。
SHOW-YA(ショーヤ)
80年代には(日本のロック全体でも)珍しかった、メンバー全員が女性のバンド。
ジャパメタの女傑(と私が勝手に呼んでる)寺田恵子の凛としたボーカルと本格的なメタルサウンドが特徴。
名盤「Outerlimits」(1989年)
7thアルバム。
それまでは歌謡ロックも多かったものの、このアルバムからメタル色を強化。
代表曲「限界LOVERS」や疾走曲「OUT OF LIMITS」などメタル中心ではあるものの、「祈り」という美しいバラードも。
聖飢魔II
デーモン閣下(Vo)がいたバンド。
イロモノ扱いされがちなイメージに反して、音楽性は高品質な王道メタル。さらに中期からはプログレからフォーク、ポルカまで幅広い音楽性を導入した。
閣下は歌が上手く、激しいメタルからバラードまで自由自在。しかも意外とクリアな声で聴きやすい。もちろん演奏陣も一流。
名盤「THE END OF THE CENTURY」(1986年)
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2ndアルバム。
前口上の「お前も蝋人形にしてやろうか!」で知られる「蠟人形の館」、ツインリードギターとダークな歌詞の「JACK THE RIPPER」、疾走曲「FIRE AFTER FIRE」など、初期の代表曲を収録。
X JAPAN(エックス・ジャパン)
ジャパメタから出発してビジュアル系を確立、今や国民的ロックバンド。
元祖ビジュアル系のイメージも強いけど、実はジャパメタ出身。初期は「X」名義だった。
スラッシュメタルやパワーメタルの激しいサウンドを基調に、クラシックやフュージョンまで取り入れた壮大なサウンド。オーケストラとの共演もある。
名盤「BLUE BLOOD」(1989年)
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2nd(メジャーデビュー)アルバム。
幅広い層に知られる代表曲「紅」、名バラード「ENDLESS RAIN」などを収録。ドラマチックでカラフルなアルバム。
さあ、次からは新世代のメタルバンドだ!
BABYMETAL(ベビーメタル)
アイドルとメタルの融合「カワイイメタル」を生み出したメタル・ダンス・ユニット。
黎明期から今に至るまでのメタルの幅広いサブジャンルにアイドルソングやデジタルサウンドを取り入れた多彩な曲調と、バックバンド「神バンド」の高度なライブ演奏が特徴。世界中にファンがいる。
名盤「BABYMETAL」(2014年)
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1stアルバム。
代表曲がたくさん入ってるし、モダンでヘヴィながらもキャッチーなサウンドや表現力抜群の歌唱などのスタイルはすでに完成形。
……でも、できれば全アルバム聴いて!アルバムは3枚しか出てないし全部サブスクにあるから!(笑)
人間椅子
青森が生んだヘヴィ・トリオ。
ブラック・サバスなどハードロック中心の70年代ロック、さらにはブルースや津軽三味線まで取り入れた音楽性が特徴。歌詞は日本文学と仏教、津軽からの影響が大きい。バンド名の元ネタは乱歩の短編だし。
30年以上ノンストップで活動を続け、インディーズに移ってもアルバムを出し続けたので、作品数がやたら多い(ゴメン、新世代どころかかなりのベテランだったわ……)。しかも少しの実験作はあっても駄作はない。
名盤「無頼豊饒」(2014年)
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18thアルバム。
三味線ギターソロが炸裂するサバス風のドゥームメタル「なまはげ」、キング・クリムゾンとわらべ歌を合わせた和のプログレ「表徴の帝国」、躍動的なハードロック「地獄の料理人」などの多彩な曲が並ぶ。聴きやすさも人間椅子らしさも充分(どのアルバムも充分『らしさ』があるけど)。
GALNERYUS(ガルネリウス)
新世代メロスピバンドの代表格。
メロディックスピードメタルの疾走感と哀愁を基調に、プログレメタルの技巧とドラマ性、クラシックやシンフォニックなアレンジを取り入れた、聴きやすくも高度な音楽性。
名盤「ANGEL OF SALVATION」(2012年)
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8thアルバム。初めてドラムにツーバスを導入したアルバムでもある。
チャイコフスキーを基調にした14分の表題曲などの壮大なアプローチ、伸びやかな歌唱、流麗なギターなどが魅力的。
人間椅子もそうだけど高品質のアルバムが多いと選定に迷うんだよな、リスナーとしては嬉しいけど……。
中編に続く!