デヴィッド・ボウイの隠れた名バンド、ティン・マシーンを再評価しよう
伝説のロックスター、デヴィッド・ボウイ。
彼のキャリアの中でも、評価が低くてあまり注目されない活動はある。
その一つがバンド「ティン・マシーン(Tin Machine)」だ。
でもこのバンドは素通りするには惜しいし、なんなら人におすすめしたい!
ティン・マシーンってどんなバンド?
ティン・マシーンは、デヴィッド・ボウイが1988年に結成したロックバンドだ。
80年代のボウイは派手なポップス路線*1だったけど、このバンドは「ロックンロール」という言葉が似合うシンプルなロック。
当時発展しつつあったオルタナの流れから出てきたバンド「ピクシーズ(Pixies)」に触発されたボウイが、ゴージャスなイメージからの脱却と原点回帰を目指して結成したらしい。
4人編成のバンドで、ボウイはボーカルとギター、サックスを担当する。
スタジオアルバム2枚とライブアルバム1枚をリリースして、1992年に解散した。
ココがすごいぞ、ティン・マシーン!
その1:シンプルで骨太なロック(※結成は80年代です)
80年代に売れていた音楽は、シンセを多用したマイケル・ジャクソンとかのR&Bやジャーニーとかのポップロック、髪を膨らませた派手な見た目でパーティーや恋愛を歌うハードロック(いわゆるLAメタル)など、派手なものが多かった。
そんな時代にシンセを使わず、60~70年代のロック(それこそブリティッシュ・ビートやブルースロック、初期のハードロックなど)をルーツとしたロックをやったのがティン・マシーンだ。
ライブではジャズのような即興を重視し、スタジオ盤よりヘヴィでアグレッシブな演奏を聴かせるところも70年代っぽい。
しかも、ただの懐古趣味のバンドではなく、パンクやオルタナに通じるようなキレもあって、より現代的なサウンドになっている。
その2:実はギタリストがかなりの名手
ボウイもギターを弾くけど、メインのギタリストとしてリーヴス・ガブレルスがいた。
あまり有名ではないけど、実はとても上手いギタリストだ。
ジェフ・ベックやレスリー・ウェスト*2などのブルースやロックをルーツとした正統派のロックギタリストながら、ノイジーなサウンドも自在にこなし、ライブでの即興演奏もお手の物。
対応力も高く、ヘヴィメタルからヒップホップ、さらには前衛ジャズまで、さまざまなジャンルのセッションに参加している。
2012年からは、英国ゴシック・ロック/オルタナティブ・ロックの重鎮、ザ・キュアーに参加している。
…ホント、なんでこんなに知名度低いのかね?
その3:ボウイのキャリアの中で重要なターニングポイント
バンドは残念ながらすぐに解散してしまったけど、リーヴス・ガブレルスはボウイのソロ活動再開後もしばらくはボウイのアルバムでギターを弾いていた。
また、ボウイ自身も、ティン・マシーン解散後、90年代からのソロ活動では、再び実験的な要素を取り入れたアルバムを作り、ツアーも精力的に行うようになる。
ティン・マシーンのおかげで90年代のボウイがあったと言えるだろう。
もちろん音楽自体もいいから、ただの過渡期のバンドではないけどね。
おすすめアルバム、それと音源の事情
とりあえず、まずはファーストアルバムの「Tin Machine」聴いときゃ間違いないと思う。
ヘヴィなハードロックや荒々しいガレージロック調の曲が多く、ジョン・レノンの「ワーキング・クラス・ヒーロー」のハードロックバージョンも秀逸。
サブスクなんかでも聴けるから、一番お手軽に聴けると思う。
Apple Music日本版では、ファーストはあったけどセカンド「Tin Machine 2」がなく、活動中に出たライブ盤「Tin Machine Live: Oy Vey, Baby」もなかった。
ただし、近年になってデジタル限定で出たライブ盤があったので、ライブを聴きたくなったらそれがよろしいかと。
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